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受験生へのメッセージ

大学院受験生へのメッセージ大学院生による合格体験談

大学院受験生へのメッセージ

社会人類学教室(博士前期課程・博士後期課程)への進学を考えている方へ
 
まず、各教員の自己紹介を読んでください。自分の関心に近い研究者の論文を読み、指導を受けたいと思ったら、メールで問い合わせをしてください。訪れることができるなら、アポイントメントをとって面談をし、研究室の雰囲気などを知っておくこともお勧めします。

特にまだ関心が定まっていない場合は、出願書類にある「希望する指導教員」の欄を空欄にしておいてください。そのために入試の合否が左右されることはありません。
 

大学院進学を考えている方へ

様ざまな概説書があります。手にとって読んでみてください。
ただ、それらを暗記したら合格するというものではありません。
人類学の概念や理論は、それぞれの人類学者が自分のフィールドにおいて、それまでの概念では理解できないことをなんとか説明しようとして編み出したものです。大学院に進学することは、そうした営みを引き継ぐ人類学者としての一歩を踏み出すことです。すでにある議論や研究を知っておくことで、自ら研究テーマを定め、修士論文や博士論文を書く時に、何が新しいのかを明確に打ち出すことができます。

進学は、ゴールではなく、スタートです。
大学院では、教員の言うことや教科書に書かれたことを学ぶわけではありません。何が言われてきて、何がまだ言われていないのかを探し、有意義な問いを発見し、説得力のある形で議論し、答えを出していかなければなりません。テーマや答えは、教員に与えられるものではなく、自分で探さなければなりません。
大学院は、研究者としての職業訓練の場でもあります。その点に留意して、探究しようとするテーマや、調査に出かけようとする地域について見識を深め、学界・研究会に出席するなど、自ら積極的に学び、動いてください。

参考までに、本学の学部教育で教員が使用しているものを始めとする基礎文献を挙げます。
ですが、学部の大学受験の参考書のような「これを読めば受かる!」という、本とは違います。大学院は研究する場であるため、ただ本の内容を読み、暗記しているだけでは評価されません。大学院入試では、基礎的な知識を持っているだけはなく、それらを応用して問いを立て、分析するという、研究に必要な力があるかを見ます。以下に挙げる本は、研究に必要な語学力、論理的思考、分析力、表現力を涵養するために役立つ本としてお考えください。

参考資料

首都大学東京の学部生向け授業で使用している文献例(年度によって変わります)

小田 亮
宇根豊 (2016)『農本主義のすすめ』ちくま新書
養老猛司(2002)『「都市主義」の限界』中公叢書
原田津(1997)『むらの原理 都市の原理』農文協

綾部真雄
Angeloni, E. ed. 2014 Annual Editions: Anthropology 38th edition, Dubuque: McGraw Hill
綾部恒雄・桑山敬己(編)『よくわかる文化人類学』(第2版―2010年)、ミネルヴァ書房。

田沼幸子
エコ、ウンベルト 1991『論文作法―調査・研究・執筆の技術と手順』谷口勇訳、而立書房
太田好信・浜本満(編) 2005『メイキング文化人類学』世界思想社
春日直樹(編) 2008『人類学で世界をみる―医療・生活・政治・経済』ミネルヴァ書房
松村圭一郎 2011『文化人類学 (ブックガイドシリーズ 基本の30冊)』人文書院
ミンツ、シドニー 1988『甘さと権力:砂糖が語る近代史』川北稔・和田光弘訳、平凡社
 
石田慎一郎
川田順造『無文字社会の歴史』岩波書店(新版・旧版あり)
B・マリノフスキー『未開社会における犯罪と慣習』(青山道夫訳)新泉社(新版・旧版あり)
E・リーチ『社会人類学案内』(長島信弘訳)岩波書店(新版・旧版あり)

深山直子
Yoshio Sugimoto 2014 An Introduction to Japanese Society. Cambridge University Press(Forth Edition)
杉本良夫 1993『日本人をやめる方法』筑摩書房
中根千枝 1967『タテ社会の人間関係』講談社ほか
 

大学院生による合格体験談

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博士前期(修士)課程、の新入生による合格体験談。
2017年度は博士前期課程4人、後期課程1人の新入生が在学しています。
それぞれ、学内進学、学外進学、学外進学(留学生)の立場から、
志望動機、受験勉強、進学を考える方へのアドバイスを含みます。
学外進学、学外進学(留学生)は、順次追加していきます。
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山岸 哲也(学内進学:2017年度入学)
 

1.志望動機

私が人類学に初めて触れたのは、大学浪人時代に読んだ、レヴィ=ストロースの『野生の思考』です。もちろん当時は何を言っているのかさっぱりわからず、ただ「よくわからないけれど面白い」という印象をもっただけでした。首都大学東京に入学後、人類学の授業で再び『野生の思考』に出会い、先生方にご助力いただきながら、「人類学の古典」と呼ばれているような他の著作も読み進め、人類学への関心を強めていきました。大学院への進学は、学部1年の頃にはすでに決めていたと記憶しています。

そんな中、進学志望を一層強くしたのが、授業で参加した佐渡島でのフィールドワークの経験です。その延長で、他大学の先生方や学生、さらに佐渡島の人々とかかわっていくうちに、卒業論文のテーマとなる「宗教的なもの」に興味を持ちました。また、私が何よりも影響されたのは、佐渡島の人々の「言葉」でした。それは、卒論調査という域をはるかに超え、「私」という存在そのものに訴えてくるほどの力をもっており、様々なことを考えさせられました。その経験は、現在の私にとってかけがえのないものとなっています。そのため、――すでに誰かが言っているかもしれませんが――私にとっての人類学とは、「『自分』がもっている固定観念を見直す経験を与えてくれるショッキングな学問」です。そしてそれは、自分を際限なく更新させてくれるものでもあると考えています。

2.勉強方法

 勉強方法に関しては、あまり器用でない者のアドバイスと思ってください。

 まず、過去問を解いてみるのが先決です。それで自分の実力を把握したうえで、勉強を始めるのがいいでしょう。どのような試験でも、その結果がどうであれ、自分の現在位置を自覚し、何が必要なのかを理解することが先決です。

 入試には、人類学の基礎知識を問うものと、英語力を問うものがあります。実際のテストでの比重は、前者1:後者2なので、英語が「読める」さらに、「書ける」といいです。私は、Kinship and Marriage: An Anthropological Perspective( Robin Fox 1984)を自分なりに和訳し、その対訳である『親族と婚姻――社会人類学入門』(川中健二訳、思索社、1977)の文章と照らし合わせるという方法を取りました。さらにその逆に、日本語訳を英語にして、原著と比べるということもしました。しかし、この方法は、自分の答えの完成度を客観的に知ることができないという問題点もあります。また、人類学の単語は、特殊な訳が当てられているものも多いため、『文化人類学事典』(文化人類学会編、丸善、2009)の最後にある索引を参考に、自分で単語帳を作りました。

 基礎知識は、「どれが出るかわからないならば、全て覚えてしまえばいい」という精神で、『よくわかる文化人類学』(綾部恒雄・桑山敬己編、ミネルヴァ書房、2010)『文化人類学キーワード』(山下晋司・船曳建夫編、有斐閣、2008)『文化人類学20の理論』(綾部恒雄編、弘文堂、2006) 『文化人類学最新熟語100』(綾部恒雄編、弘文堂、2002)を何度も読み込みながら覚え、 『文化人類学文献事典』(小松和彦他編、弘文堂、2004)に載っている様々な争点も参照しました。それと並行して、自分の興味のある分野の著作や論文も、なるべく広く読むようにしました。余談ですが、佐渡島での卒論フィールドワークと同時並行だったので、佐渡の子どもたちがそばで走り回っているなかで勉強・出願をしました。ニックネームもつけられ、否応なしに遊びに巻き込まれながらでしたが、子どもたちのおかげでいい気分転換となっていました。

3.アドバイス

 学内進学した立場から言えば、首都大では多くの人類学の授業が開講されているので、それを通じて、少しでも人類学に触れる機会をもつといいと思います。また、疑問があれば、遠慮なく聞くことが大切です。先生方をはじめ、先輩とのかかわりのなかで新たな発見があることも多いです。そのような場としても、研究会は絶好だと思います。少しでも興味があれば、ぜひ足を運んでみてください。

 
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